着工開始 第05話 ラナイの雨仕舞を巡る交渉
着工契約から2か月が経ちます。
土地に変化(着工)は見えません。
この日の打ち合わせは、ラナイ(ベランダ)について。
建築家(設計サイド)が描く図面と、工務店(施工サイド)の現実的な施工リスクとのズレが特に出た打ち合わせとなりました。
カヤマ常務「ウマさん、ラナイの雨仕舞について相談です。」
僕「ア、アマジマイ…ですか?」
(↑分かってない汗)
カヤマ常務「2階のラナイに大量の雨水が降り込んでも、溜まったり溢れたりして1階へ雨漏り等を引き起こさないようにする工夫、ですね。」
雨仕舞①:パラペット(低い立ち上がり)
カヤマ常務「工務店(施工サイド)としては、パラペットを立ち上げた方が良いと考えています。」
(イメージ)
出典 INMYROOM
夫婦「…え、ええ~汗。そんな今住んでる賃貸アパートのベランダみたいになるんですか汗。」
カヤマ常務「パラペットがないと、ラナイから1階(外壁)に水が溢れ落ちたりして、雨漏りのリスクが高くなりますよ。」
(イメージ/umiie断面図)
夫婦「い、いやーしかし…umiieはずっと、海への抜け感を損なわないように検討してきたつもりだったので、正直かなり抵抗がありますね…汗。」
(イメージ/これは抜け過ぎですが笑)
雨仕舞②:リビング(室内)とラナイの高低差
カヤマ常務「あと、設計図面ではリビング(室内)とラナイがフルフラットですね。これだとラナイからリビング(室内)に浸水するリスクも高くなります。」
(イメージ/umiie断面図)
コウセイさん(設計事務所)「・・・。」
カヤマ常務「なので、リビングからラナイに出る時には、階段1段分を下りる程度の、高低差を付けることが望ましいです。」
夫婦「えっ、いやいや…それも、いかにリビングとひと続きの半屋外空間、アウトドアリビングにできるかを考えてきたので、相当抵抗があります汗。」
カヤマ常務「うーん、では例えばデッキであればその下に排水空間を確保できるので、リビングとフルフラットでも大丈夫ですよ。」
(イメージ)
出典 Askanis
僕「いやー汗…リビングにデッキを足したような空間だけは避けたい検討をしてきたので…。リビングとラナイを連続させる優先度は相当高いです。」
(イメージ)
出典 Etsy
雨仕舞③: ラナイ排水溝の拡充
カヤマ常務「①②でデザインを優先する分のリスクを小さくするために、排水溝を相当大きく確保することも考えられます。」
カヤマ常務「例えば、ラナイの内周をぐるっと排水溝で囲めば、どんな水量でもほぼ確実に雨樋から排水できて安心ですよ。」
(イメージ)
夫婦「すみません…減築(減額調整)でラナイが一番小さくなってしまって、これ以上更に有効面積が減るのは、厳しいです…汗。」
ラナイ雨仕舞の結論
工務店(施工サイド)が施工のリスクを重視してくださるのは、確かに必要でありがたいことなのですが…。
これまで設計事務所と相当の時間・打ち合わせ(約1年半)を経てやっと出来た図面なので、
施主(僕たち)からすると正直、
「これまでの設計過程の中で整理されておくべき(今更)であるし、もし調整するにしてもそれは<設計事務所>と<工務店>の間でしていただけないと難しい」
という感じではあります汗。
調整の結果、
雨仕舞①:パラペット代替の排水溝を作る。
雨仕舞②:サッシ部材分だけ(2~3cm)ラナイのレベルを下げる。
雨仕舞③:わずかに勾配を付けて排水溝に流す。
という方法で納められることになりました。
今日の一曲:Bridges/Adam Baldych & Helge Lien Trio