楽しい家づくりの終わり 第02話 責任をとる道

 

→スタジオ打ち合わせの続き

 

 

 

2017年8月31日(木)19:00~22:00

 

僕たち夫婦2人だけ、打ち合わせスペースからいったん席を外させていただきました。

晩夏とはいえ、かなり肌寒いスタジオの外へ。

僕としては最低限、今日もあまり発言していないぐーさん(妻)の意向を確認しておきたいなと。

 

 

 

1.スタジオの外で夫婦ミーティング

 

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僕「…。僕たちの予算とこのチーム(自分たちも含む)では、もう「umiieは建たない」っていう判断をした方がいいタイミングのような気がするよ。」

 

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ぐー「……。」

 

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僕「この後スタジオに戻ったら、オグリさんとゾノ先生達にいったんumiieの話(契約)を中止する申し出をしてもいいぐらいかなと思ってるけど…ぐーさんは、どう思ってる?」

 

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ぐー「…それは、家づくり自体を止めるっていう意味?」

 

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僕「…いや、まあ土地は買ってるし、umiieじゃない別の家をイチから考え直す余裕があれば、家づくり自体の可能性は消さなくてもいいかなと思ってるよ。」

 

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ぐー「わたしは…別のプランが出ても、多分このumiieの方が好きな気がするから…できたら、umiieの可能性もまだ消えない方がいいかな...。」

 

 

とりあえず、お互いの思い(とそのズレ)だけでも確認できたので、スタジオに戻る2人。

 

 

 

2.今後の方向性(今日の結論)

 

 

傍(はた)から見れば僕たちの考え方や対応は「大甘」かもしれませんが、「4,400万円」(勝手に減額調整されて表示は3,300万円)の見積はさすがに作為的な増額ではなく、こちらが本来の見積額だったと、概ね信じる前提で考えたいと思います。

 

かといって、そのまま全て受け入れて進めることも難しいのも事実です。

今日のところは、「破談にはいつでもできるから、オグリさん達とのumiieの可能性はまだ残しておく」という着地を選びました。

 

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僕「…今日の見積結果から、当初の予算額(2,500万円)ではとてもumiieは建てられないということは、いったん現状として把握しました。

 減額調整も想定していた以上に必要になったので、できる限り施主が納得できるような「功い」減額調整の提案・妙案を要望します。

 僕たちは僕たちで、予算額(ローン借入額)を500万円上げる必要性も検討してみます…。」

 

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オグリさん「…今日は正直、もうウマさん達に契約を解消されると思っていました…。一度死んだ(契約が無くなった)つもりで、今後死ぬ気で頑張らせていただきます。」

 

 

 

3.放心状態での帰宅 

 

打ち合わせ後の帰り道。

夜遅くなったので、晩御飯は「はなまるうどん」へ2人で寄ったのを覚えています。

「冷だしオクラと生姜」を注文したものの、(おそらく放心状態のせいで)驚くほど全く味を感じなかったことも笑、鮮明に覚えています。

 

先ほどのオグリさんの決意表明も、大して響いていない自分がいました。

 

umiieのファーストプランから1年近く引っ張っておきながら、最後は「もし契約破棄でウマさん達の気が済むのであれば、大変残念ですが覚悟はできています…」という、痛み分けみたいなイメージだったように感じます。

 

…いや、契約破棄は「痛み分け」ではないでしょう。

 

オグリさんやゾノ先生達にすれば生涯キャリアで手掛ける住宅(数百件?)のうちの1件の不手際程度かもしれませんが、

僕たちにとっては、ありきたりな表現ですが一生に一回、夫婦でこの1年間毎日想ってきたumiieです。

 

契約破棄や、仮に「辞職します」と言われても、僕たちの希望「umiieが建つ」につながるわけではありません。

 

僕は赤木しげるの言葉を思い出していました。

 

「 自分の身とひきかえで責任をとったような気になるヒロイズム

 責任をとる道は身投げのような行為の中にはない

 責任をとる道はもっとずーっと地味で全うな道」

 

 

 

翌日も仕事ながら、打ち合わせから帰宅できたのは深夜。

 

アパートのリビングで3,300万円の見積内訳を呆然と眺めながら、

ショックと怒りで全く眠れる気がしません。

 

…と思っていましたが笑、

今日までの1年間の疲れが全部まとめてきたように、

僕は見積書を広げたリビングのカーペットの上で眠りに落ちていきました。

 

 

 

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(©1995福本伸行

 

 

 

 今日の一曲:Rain/Stu Harcourt

 


 

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