楽しい家づくりの終わり 第07話 ゾノ先生の手土産
「オグリさんへの宿題」と「ASJへの相談」というこちらの動きは、当然ゾノ先生にも早々に伝わったようです。
ゾノ先生「ちょうど別件で近くにいるので、少しお会いできないでしょうか?」
正式な打ち合わせではなく、取り急ぎゾノ先生お1人と直接会うことに。
僕「あ、じゃあせっかくなので、場所は僕たちのアパートに来ていただいてもいいでしょうか?この機会に、家具や持ち物(収納量)等を見ていただけると、umiieの参考にしていただける情報があるかもしれませんので。」
2017年9月7日(木)19:00
ゾノ先生は、僕たちの分のスタバ珈琲を持って、旧式のビートルから降りてきました。素敵です。
(イメージ/画像拝借)
ゾノ先生「えーと、何からお話させていただきましょうか…とりあえず今の状況(宿題やASJ介入)はオグリくんから共有してもらっています。」
ゾノ先生「まずは、本当に申し訳ありません。」
夫婦「い、いえいえ…(恐縮)」
ゾノ先生「お手数ですが、ウマ様達が感じられている現状の問題を改めて、最初から詳しく教えていただいてもいいでしょうか?ウマ様達と同じ目線になった上で、その解決・改善に向けて精一杯努力したいと思います。」
遅刻や遅延は生じても、やはり基本的には非常に誠実な建築家先生であると感じます。
(シビアなビジネス書等からは「タイムマネジメントこそクオリティ以前の仕事の大前提(その厳守が何よりの誠意)」とか突っ込まれそうですが汗…)
1.ゾノ先生の弁明
ゾノ先生「全てウマ様の言うとおりで全面的にお詫びしなければいけません。…その上で、言い訳にしか聞こえないかもしれませんが、少しだけ補足させてください。」
①過程の重要性
ゾノ先生「「良い家」は、経験上そのほとんどが紆余曲折、いろんな障害や課題を乗り越えた家だと感じます。ファーストプランのまま予算内ですんなり建つ家があっても、逆にそれは「普通の家」とも言えます。」
②チームumiie(メンバー)の素晴らしさ
ゾノ先生「umiieのファーストプランは、土地のポテンシャルも高かったため、ある程度のプランでも良い家になる点が逆に難しく、今の私の精一杯の力を注いで出来上がったものです。」
ゾノ先生「当事務所のコウセイも、非常に優秀なスタッフであり、実施設計(図面作成)等も私が全面的に信頼して任せました。」
ゾノ先生「オグリくんも、施主の希望を丁寧に汲み取れる素晴らしいスタジオマネージャーです。」
ゾノ先生「ウマ様も、〇〇や〇〇等(自主規制)、本当に素晴らしい施主様です。」
ゾノ先生「そして、これらのスタッフと施主様は全員umiieの実現に全力であたっていて、誰も手抜きはしていません。…つまり、現在のスケジュールは「遅れている」というよりも、umiie完成のために全て必要な過程と時間、という風に考えていただけないでしょうか。」
僕「……。」
…くっ、上手いことやられました。
謝罪やメンバーの落ち度の指摘よりも、僕たちには効果がありました。
施主をおだてるだけでなく、関係者全員を逆に褒めちぎることで、いかにこのチームによって建つumiieが素晴らしいかという未来志向のプレゼンです。
そういう計算しているようには見えませんが、さすが課題解決をデザインするプロ、僕たちの不満はまんまと一部溶かされていきました。
2.ゾノ先生の手土産
ゾノ先生「それと…今日手ぶらでお詫びだけというのもと思い、ちょっとした手土産を持ってきました。」
ウマ「ありがとうございます…こ、これは…!?」
ゾノ先生「ふふふ…神島(こうのしま)化学工業の防火サイディング「浦島」シリーズです!」
ウマ「お、おお~っ。(←いまいち凄さが分かっていない笑)」
つまり、外壁のサイディング材を、増額無しで今の仕様よりグレードアップしてもらえるよう、工務店T社に話を付けてきてくださったようです。
確かに、面材の質感だけでも、イメージしていたサイディングより、マットで上品な気がします。
ゾノ先生「これ結構良いサイディングなんで、僕は好きなんですけど、どこの施主様・工務店にもなかなか使ってもらえる機会が無くて…いやー今回ウマさん達のためにT社にかなり頑張って交渉してきました。」
ゾノ先生「防火で、塗膜10年保証っていう点も、相当良いですよねー。」
ウマ「そうなんですね…ありがとうございますっ。」
大変ありがたいんですが…
今の見積問題の状況下では正直「仕様は前のサイディングのままでお安くしていただける」方がありがたかったのが本音です笑。
でもゾノ先生が喜んでいるし笑、良い家に近づくのは確かなので、ありがたく「浦島」いただくことにしました。
今日の一曲:桜富士山/奇妙礼太郎トラベルスイング楽団
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