楽しい家づくりの終わり 第01話 見積の真相
2017年8月31日(木)19:00~22:00
2か月半ぶりの、三者揃って正式な打ち合わせの日。
オグリさん(工務店T社)、ゾノ先生(建築家)、夫婦(施主)
1.打ち合わせに先立って
このタイミングで言うべきか迷いましたが、また今後も同じような流れにならないよう、あえて見積(精査完了版)の確認前に「現状の施主の想い」を伝えておくことにしました。
僕
「前回から2か月半、見積精査ということでスケジュールがまた遅延しました。その前は、木造から鉄骨造に変更のため4か月遅延しました。
遅延が挽回されるどころか、遅延の対応がまた遅延を生んでいます。
目標(予算)額の2,500万円に向けて、断腸の思いで仕様を落として△10万円をひねり出した減額調整が、1か月遅延になると1か月余分に住むアパート代に一瞬で消されていっています。
楽しもうと思うこと自体が甘いかもしれませんが、数か月前から「楽しい家づくり」はもうあきらめないといけないというつもりでやってきました。」
オグリさん・ゾノ先生「大変申し訳ありません…。」
2.打ち合わせの本題へ
僕「前回突然1,500万円も上がった見積4,400万円(下表③)は、仮計算までしかできていない途中版だから、ということでの見積精査でした。
2か月半も待って出し直される今日の見積額(下表④)は、当然、②と「同じ内容のままで」同額の2,900万円まで戻っている、という理解でいいですよね?」
(イメージ)
区分 | 施主イメージ |
① 2月 概算見積(木造) | 2,700万円 |
② 4月 概算見積(鉄骨造) | 2,900万円 |
③ 6月 本見積(仮) | 4,400万円 |
④ 8月 本見積(精査後)/今日 | 2,900万円 |
⑤ 9月 目標額(減額調整後) | 2,500万円 |
オグリさん「…ウマ様が今おっしゃった整理に沿えていないかもしれませんが…ひとまず今日の資料として見積書(精査後)の説明をさせていただきます…。」
オグリさんの声はリアルに少し震えていました。
3.本見積(精査完了版)オープン
まず総額欄が、想定の2,900万円には全く届いていない「3,300万円」。
いきなり遮りたい気持ちを必死で抑えて、とりあえずオグリさんの説明を最後まで耐えながら聞くことに。
更に耳を疑う説明が続きました。
オグリさん「4,400万円(精査前)から金額が落ちた内訳は…」
・ピロティ収納扉の造作を既製品にしたとして△50万円
・床暖房をやめたとして△200万円
・キッチンはkitchenhouseをやめたとして△100万円
・在来浴室をシステムバスにしたとして△100万円
等々…
「…という内訳で、現在3,300万円まで下がっている、という感じになります…(恐縮)。」
…
…え?
僕「…いや、それは「見積精査」じゃなくて、(ただ勝手に)「家の仕様を1,100万円落としただけの減額調整」でしょう…。」
そんなものを2か月半も待ち(待たせ)続けていたなんて…。
しかも、減額調整の段階になったら泣く泣く削って2,500万円を目指そうと思っていたタマ(床暖房等)は、もう既に減額に使ってしまっての、3,300万円。
ここから800万円も落とせるわけがありません、仮に落としてもそれはもう別の家です。
ゾノ先生「……。」
ゾノ先生はこれを知っていたのか、ゾノ先生も今初めて知って(工務店に)絶句しているのか、そもそもこの見積額やスケジュールのおかしさにピンときていないのか、分かりません。
4.見積の真相
信じられませんが、結局、ずっと「2,900万円」と言われて検討を続けていたumiieは、実は「4,400万円」の方が正しい見積だったようです。
僕「…スケジュールの遅延も、見積額の誤りも、「建築」という大規模で特殊なビジネス業界なら、ある程度は仕方ないと割り切るように考えてきました。
…ですが、せめて一方ならともかく、「6か月もの遅延」の挙句に「1,500万円もの見積誤り」の両方は、考えられません。」
オグリさん「…本当に申し訳ありません...。」
ゾノ先生「……。」
僕「これではもう、話が違い過ぎます…。」
この不満と限界をうまく伝えながら協議を進める頭も回らず、僕は独り言のようにそう絞り出すのが、精一杯でした。
僕「……。
一度夫婦2人だけで話をしたいので、10分ほど席を外させてください。」
→続く
今日の一曲:So Long, Frank Lloyd Wright(フランクロイドライトに捧げる歌)/Simon & Garfunkel
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