「ASJ」編 第06話 敷地に応答せよ
「敷地に応答せよ」
『住宅特集』2017年5月号の名タイトルを拝借しました。
僕たちも含め、どのハウスメーカーや工務店もみんな、海に対して「横に広げる」間取りを当然のように検討してきました。
【ゾノ先生以外の全社のプラン】
(左下の区画が、僕たちの土地と間取り形状)
会社によって、内部の間取り(仕切り方や部屋の配置)が少し異なる程度。
何人もの違うタイプの設計士が何度も練ってくれて、この形に収束するということは、これがこの土地に建てる家の「正解」なんでしょう。
ゾノ先生「先日のヒアリングで、ウマさん達の希望は8割がた「海」だという理解をさせていただいて、考えたプランです。」
2人(…え?…海に対して「縦長」で…しかも「斜め」…!?汗)
それは、この何か月間の全ての他社との打ち合わせをひっくり返すようなプランでした。
【ゾノ先生のプラン】
形状自体こそシンプルな「箱型」ですが、
僕は正直「建築家の「奇をてらった」やつキター」と構えました。
(恐れていた方の意味で笑)
…しかし、それは単なる奇抜なデザインではありませんでした。
ゾノ先生は、僕たちの家を考える前に、まず「前の家」がどう建てられるかを、いろんな可能性から検討してくれていたんです。
方角、道路、海、周辺の建物状況、「前の土地」区画上の出入口位置から、
ゾノ先生「「前の家」はまず間違いなく、この位置にはかからずに建てられると想定できます。」
ゾノ先生「また、「前の家」は平屋という前提でした。例えばハウスメーカーが切妻屋根だと一般的にこの勾配(傾斜)のはずなので、海への景観をこれぐらい遮ってくる可能性はあります。ただ、2F建てを建てられないという確証もないですよね。」
2人「そうなんです。」
ゾノ先生「…ということで、将来も確実に障害物が現れないのは、北東の道路部分。この方向の海を切り取れば、「前の家」が仮に3F建てになっても、イメージどおりの景観をまず作れると考えます。」
【ゾノ先生の「海の眺望」計算】
これほど、僕たちの「海を眺めて暮らしたい」という希望に特化して考えてもらえたプランは他にありません。
僕はあやうく、パチンコ「沼」を攻略するカイジの切り札に気付いた、一条と同じ絶叫をしそうになりました。
「建築(家づくり)の醍醐味とは」みたいな大喜利特集で、
ある建築家の「一つとして同じ条件は無いその土地に合わせた、その土地の良さや意味を引き出す建物を建てられた時、地球にたった一つしか無い場所(空間)を生み出せること」
みたいな回答にシビれたことを覚えています。
ハウスメーカーの営業マン、設計士、工務店の社長、外部委託デザイナー…様々な方の視点からプランをいただきましたが、
僕たちにとってはゾノ先生が考えてくれたその建物だけが、確かに敷地に応答してくれていました。
昨日の一曲:真夏の果実/サザンオールスターズ