「ASJ」編 第07話 ドイツの小学校
海へのアプローチ以外にも、特に3つの仕掛けに、2人はうっとりしてました笑。
①1Fピロティ
コルビュジエが提唱した「近代建築の五原則」の一つでもある、「ピロティ」(2F下部の柱のみの外部空間)。
単純な配置上は、土地の入口を、建物が全面的に塞いでいます。
それを、1Fの一部を「ピロティ」としてくり抜くことで、向こう側に車が通れるようになっています。
ちなみに、もし1F「ガレージ」だと、個人的にはあまり萌えてなかったと思います。
(建物の一部として絵になるような自動車を持っていない(車にこだわりがない笑)からでしょうか。)
(イメージ)
ゾノ先生「車が通り抜けたはずなのに、向こう側に車は見えない場所に駐車場を作るのも面白いかなと。…ドイツで見た小学校にインスピレーションをもらいました。」
(ゾノ先生のプランイメージ)
②海に向かって降りる階段室
階段は、距離的にも負担的にも、最大の導線。
だからこそ、少しでも昇り降りが苦にならないような工夫が必要な、重要な部分であると、ある建築家が言っていました。
(一般的な箱型階段のイメージ)
ゾノ先生「ウマさんがちらっと、「箱型階段は実家感(生活感)が強い感じがしてあまり好きではない」とおっしゃっていたので、考えてみました。」
リビング階段に近いんですが、それとも少し違う「階段専用の空間」が建物にくっついているような…とても素敵なデザインです。
(ゾノ先生のプランイメージ)
(ゾノ先生のプランイメージ)
③狭小ならではの美しいファサード
他社と検討していたのは、できるだけ海に対して「横長」の間取り。
いろんな部屋が海側に持ってこれる反面、いろんな窓・柱が混在して見えることになり、少しがちゃがちゃしたファサード(建物の顔)になってしまうことが悩みでした。
(他社との検討イメージ)
ゾノ先生には、そんな他社との検討や課題を当然伝えてはいません。
しかし、それらを見透かすかのように、ゾノ先生のプランは海に対して「縦長」という真逆のプラン。
あえて縦長にしたその形は、「前の家」を景観から切り取るという最大の目的の他に、「ファサードと開口が美しい」というデザインでもありました。
(ゾノ先生のプランイメージ)
ファサード(外観)だけでなく、室内からも、壁一面がピクチャーウインドウとなる美しい景観が、素人の僕にも容易にイメージできる図面です。
(ゾノ先生のプランイメージ)
今日の一曲:アバラボブ/マキシマムザホルモン
「ASJ」編 第06話 敷地に応答せよ
「敷地に応答せよ」
『住宅特集』2017年5月号の名タイトルを拝借しました。
僕たちも含め、どのハウスメーカーや工務店もみんな、海に対して「横に広げる」間取りを当然のように検討してきました。
【ゾノ先生以外の全社のプラン】
(左下の区画が、僕たちの土地と間取り形状)
会社によって、内部の間取り(仕切り方や部屋の配置)が少し異なる程度。
何人もの違うタイプの設計士が何度も練ってくれて、この形に収束するということは、これがこの土地に建てる家の「正解」なんでしょう。
ゾノ先生「先日のヒアリングで、ウマさん達の希望は8割がた「海」だという理解をさせていただいて、考えたプランです。」
2人(…え?…海に対して「縦長」で…しかも「斜め」…!?汗)
それは、この何か月間の全ての他社との打ち合わせをひっくり返すようなプランでした。
【ゾノ先生のプラン】
形状自体こそシンプルな「箱型」ですが、
僕は正直「建築家の「奇をてらった」やつキター」と構えました。
(恐れていた方の意味で笑)
…しかし、それは単なる奇抜なデザインではありませんでした。
ゾノ先生は、僕たちの家を考える前に、まず「前の家」がどう建てられるかを、いろんな可能性から検討してくれていたんです。
方角、道路、海、周辺の建物状況、「前の土地」区画上の出入口位置から、
ゾノ先生「「前の家」はまず間違いなく、この位置にはかからずに建てられると想定できます。」
ゾノ先生「また、「前の家」は平屋という前提でした。例えばハウスメーカーが切妻屋根だと一般的にこの勾配(傾斜)のはずなので、海への景観をこれぐらい遮ってくる可能性はあります。ただ、2F建てを建てられないという確証もないですよね。」
2人「そうなんです。」
ゾノ先生「…ということで、将来も確実に障害物が現れないのは、北東の道路部分。この方向の海を切り取れば、「前の家」が仮に3F建てになっても、イメージどおりの景観をまず作れると考えます。」
【ゾノ先生の「海の眺望」計算】
これほど、僕たちの「海を眺めて暮らしたい」という希望に特化して考えてもらえたプランは他にありません。
僕はあやうく、パチンコ「沼」を攻略するカイジの切り札に気付いた、一条と同じ絶叫をしそうになりました。
「建築(家づくり)の醍醐味とは」みたいな大喜利特集で、
ある建築家の「一つとして同じ条件は無いその土地に合わせた、その土地の良さや意味を引き出す建物を建てられた時、地球にたった一つしか無い場所(空間)を生み出せること」
みたいな回答にシビれたことを覚えています。
ハウスメーカーの営業マン、設計士、工務店の社長、外部委託デザイナー…様々な方の視点からプランをいただきましたが、
僕たちにとってはゾノ先生が考えてくれたその建物だけが、確かに敷地に応答してくれていました。
昨日の一曲:真夏の果実/サザンオールスターズ
「ASJ」編 第05話 ゾノ先生のファーストプラン
2016年09月10日(土)
ゾノ先生からファーストプランを提示してもらう日が来ました。
時系列的にも、他社とは既に打ち合わせは進んでいて、これが実質「最後」のファーストプラン。
最も契約に近い「Si」社でさえ、割り切らないといけない点がいろいろあることが分かってきた段階です。
だからこそゾノ先生には期待している反面、「建築家」というだけであまり期待し過ぎるのもと思っていました。
ゾノ先生「先日、実際にumitochi(ウマさん達が仮予約中の海沿いの土地)にも現地確認行ったうえで、プランを考えてきました。」
期待と不安の中、おそるおそる図面…オープン。
ウマ(…おいおい…汗…)
ぐーさん(…無言…)
あれだけアイランドキッチンの希望を伝えてたのに…キッチンはペニンシュラ(片方壁付け)型です。
(希望イメージ)
屋根の形は、(平らな)陸屋根です。
希望していた可愛い三角屋根(オウチ形)は?
(希望イメージ)
他社の提案で是非採用したい「海側の2Fお風呂」はどこにいった?
海側どころか1Fの浴室です。
(希望イメージ)
あと、海に対して「細長」くない?
(イメージ)
他社も僕たちもみんな、海に対してどれだけ大開口=「横長」で考えてきたか。
(希望イメージ)
正直、いろいろ取り入れてもらえてない希望が多々あります。
…ですが…
2人(…なんちゅー凄い家や…!)
今日の一曲:Valtari/Sigur Ros
「ASJ」編 第04話 ゾノ先生のヒアリング
2016年8月
はるばる広島からゾノ先生が、初顔合わせとヒアリングに来てくれる日。
僕たちは緊張しつつ、ASJのスタジオで待っていました。
しかし、一向に現れないゾノ先生。
小栗さん「…ウマさんすみません、ゾノ先生、(案の上)遅れるそうです。」
ゾノ先生「すみません、大変遅れました。高速道路が渋滞してて…」
(ここまでイケイケではないですが、シャツと無精髭の感じだけ)
2人「初めまして、遠いところよろしくお願いします。」
遅刻は想定していたとはいえ…「初対面」回から1時間遅れは、想定以上でした(大丈夫かな笑)
気を取り直して、早速ヒアリング開始。
時間にルーズな分(?)、確かにゾノ先生はのんびりと優しい空気で、僕たちの話に耳を傾けてくれます。
カフェやホテルのような雰囲気が好きとか、
三角屋根のオウチ形が好きとか、
アイランドキッチンに憧れているとか、
部分的な希望も伝えつつ、本題へ。
2人「海沿いの土地を検討中(仮予約中)ですが、「前の家」が後からどんな家が建つか(海の景観がどうなるか)分からなくて、どんな家がいいのか、そもそもこの土地を買っても大丈夫なのかが不安で…」
ゾノ先生「なるほどですね。」
ゾノ先生「…シンプルな対策の一案として、水盤を出すという手段もありそうですね。「前の家」を視界から切り取りつつ、水盤と海が一続きになるイメージです。」
(イメージ)
2人「はー、確かにそれは素敵ですね驚」
モダンな住宅になりそうなのは気になるものの、「窓を小さくして「前の家」を切り取る」等より、確かに良い気がします。
ゾノ先生「今ちょうど、ハワイのレストランの設計も手掛けていて…」
2人(ハワイ!?)
ゾノ先生「はい。そこは、海からかなり上がった丘の斜面に建つので、普通に建てても海は見えにくいんです。」
2人「それをどうやって…?」
ゾノ先生「天井を海に向けた鏡にして、海の眺望を取り入れました。」
(イメージ)
2人(な、なんだか凄いぞ…笑)
初回の「掴み」が重要という意味では、なかなかカマしてきてくれます。
ゾノ先生「…といった感じで、いろいろ武器(引き出し)を使いたいと思うので、ファーストプラン作ってきてみますね。」
今日の一曲:楽園/andymori
「ASJ」編 第03話 建築家選び
小栗さん「ご希望の建築家がいれば、どなたか先生とヒアリングされてみますか?」
ウマ「先日の建築家展だと…ごっち先生が、施工事例も人柄も素敵と思いました。」
(イメージ)
小栗さん「ごっち先生、人気なんですよね。去年の設計件数、日本一だったんですよ。」
2人「ええ!驚」
小栗さん「僕も、日本中の全住宅で一番好きな建物、実はごっち先生の作品なんですよ。」
2人「じゃあ…。」
(イメージ)
小栗さん「…でも。ウマさん達(の理想の家を建てる建築家)は、ごっち先生じゃない気がします。」
2人「あれ!?汗」
小栗さん「ウマさん達の好きなテイストって、例えばリビングの床モルタルがいいとか…カフェやホテルっぽいですよね。」
2人「確かに。」
小栗さん「それだと、「店舗」も多く手掛けてる先生の方が合ってるんじゃないかと。」
(イメージ)
既にごっち先生に惚れていたので、それでも若干食い下がる僕。
ウマ「うーん…でも、話しやすさや考え方も素敵だったし…。」
小栗さん「施主様自身が好きで選ばれた建築家先生は、意外と途中でチェンジになるケースも多いんですよね。」
2人「え、そうなんですか汗」
小栗さん「僕としては、広島県と遠いですが、ゾノ先生がウマさん達と相性良いのではと思っています。」
2人「あ、建築家展でも、設計事務所のブースはありましたね。先生は不在でしたが。」
小栗さん「実は、僕の自邸もゾノ先生に建ててもらったんです。」
2人「それは、説得力(安心感)ありますね。」
ゾノ先生の施工事例は、僕たちにはちょっとモダンかなとも思っていました。
(イメージ)
でも、せっかくなのでまずはスタジオマネージャーのマッチング力と勘を信じてみることに。
2人「じゃあ…ゾノ先生とヒアリングお願いしますっ。」
小栗さん「ゾノ先生は、「先生」っていうオーラもあまり出さずに、細かい話も聞いてくれるので良いんですが、あらかじめ了承いただきたい点が1点だけあります。」
2人「な、何でしょうか…?(ごくり)」
小栗さん「…時間にルーズです(笑)。」
今日の一曲:Waltz In August/ROCKETMAN
「ASJ」編 第02話 建築家展
2016年6月
「お待ちしていました、初めまして。」
県内にあるASJスタジオを訪れると、
草食系の小栗旬っぽいスタジオマネージャーが迎えてくれました。
(イメージ)
ASJのスタジオマネージャーは、
施主と、施主に合いそうな建築家をマッチングしてくれる存在。
この時はまだ土地が決まっていませんでしたが、
小栗さんは丁寧な物腰で、建築雑誌等をめくりながら、僕たちが建てたい家のイメージをヒアリングしてくれます。
小栗さん「ちょうど『建築家展』を開催するので、よかったらお越しくださいね。」
おそるおそる『建築家展』にお邪魔すると、
ショッピングセンターのフリースペースに、数名の建築家ごとのブースが並んでいました。
施工事例のパネルや模型が展示されており、それを手掛けた建築家先生が実際にいらっしゃいます(物怖じ)。
(イメージ)
小栗さん「施工事例の好みも大事ですが、話しやすさの相性もやはり重要なので、気軽に先生方と雑談してみてくださいね。」
緊張しながら、ひととおり建築家先生とお話ししましたが、確かに意外とどの先生もかなり気さくです。
その中でも特に、施工事例にも人柄にもときめいた先生が1人いました。
(イメージ)
施工事例に、深くて大きい軒の家がいくつかあったのが印象的。
その軒が作る中間領域が、アウトドアリビングを望む僕の心を掴みます。
(イメージ)
何より、人柄というか雰囲気が、なんだかとても素敵です。
単に腰が低いとかそういうのではなく、饒舌でもないですが、建築に対しても人に対しても謙虚で純粋そうな、優しい空気がにじみ出ています。
好きや…笑
あれ…これもう、ごっち先生に決まりでよくない?笑
今日の一曲:未来の破片/ASIAN KUNG-FU GENERATION
「ASJ」編 第01話 アーキテクツ・スタジオ・ジャパン
家づくりの依頼先は、一般的に3つに分かれると言われています。
①ハウスメーカー(Su社、ハ〇ム、M社と検討)
②工務店(R社、Y社、Si社と検討)
③建築家
2016年04月に住宅展示場見学からスタートした家づくり。
1社と行き詰ったら次の1社、という流れではなく、
最初から上記数社を並行して検討を重ねてきました。
だから、4月~10月の半年間、平日も含め、ほぼ毎週末どこかの会社と打ち合わせ。
1日3回転(3社)という日もざらで、さすがに苦しい時もありました笑
③建築家は、設計料が高く、「先生の作品」として僕たちの住みやすさは重視されず、デザインも個性的を通り越した「奇抜」なのになったらイヤだな笑…というイメージで、敬遠ぎみでした。
それよりは、センスが好きな工務店等で、自分たちでもある程度デザイン・間取り・仕様等の勉強もすれば、満足する家は建つと思っていました。
実際、最も契約に近いSi社であれば、90点は出ています。
(残り10点は、Si社の問題ではなく、「ある違和感」で挙げたような、土地や予算の制約によるものです。)
しかし、あえてネガティブに考えれば、完全自由設計で、これだけいろんなプロと時間をかけても、人生で一度しかない数千万円の買い物なのに、やはり100点は無理なのか…というもやもやもあります。
そんな中、2016年9月、最後の1社からのファーストプランが出そろいました。
ASJ(アーキテクツ・スタジオ・ジャパン)。
日本中(ほぼ全員?)約3,000名の建築家が登録しているネットワーク。
その窓口(スタジオ)に行けば、施主の要望に合いそうな建築家をマッチングしてくれるシステムです。
(ASJから拝借)
スタジオは全国に180個点在。
県内にも、工務店「N社」の一部署として、ASJのスタジオはありました。
(ASJから拝借)
さんざん苦手意識もあるくせに、せっかくなので一応「③建築家」という選択肢も作ってみていました。
話聞くだけなら、命まではとられないでしょう笑…。(←ビビりすぎ)
今日の一曲:海 その愛/加山雄三 feat.水曜日のカンパネラ
第3の住人 ムニ
たまにふらっと寄ってみるデート場所の一つに、ペットショップがありました。
具体的に「飼う(買う)」目的は無く、子犬や子猫を見て癒されにです。
僕はそれまで犬派だったんですが、
ぐーさんがかなりの猫派のため、僕も猫の魅力が少し分かってきました。
(イメージ)
「ちくわ」で有名な『エキゾチックショートヘア』。
(イメージ)
また、ぐーさんは、キレイでクールな感じの猫も好みだったので、例えば『ロシアンブルー』。
(正直僕は、クールなタイプは少し苦手ですが…笑)
(イメージ)
2017年6月11日(日)
家づくりの打ち合わせまで時間つぶしに寄った、ショッピングセンター内のペットショップ。
スコティッシュフォールドの子猫3兄弟がいました。
スコティッシュフォールドといえば、1、2を争う人気(定番)品種らしく、確かにこれまでどのショップでも見てきています。
ただ3兄弟の1匹は、クリーム色の長毛で、ちょっと珍しい雰囲気。
「羊みたいで可愛いね」と軽く釘付けになる2人。
とは言え、いつもどおり見るだけで店を後にして、その後も特に話にでることはありませんでした。
2週間後のある日。
ぐーさん「仕事帰りにショッピングセンター行ったとき、ついでに見たら、あいつまだいたよ。」
この時、少しほっと安心した自分がいることに気付きます。
ぐーさん「今住んでるこのアパートって、ペット「可」だよね…」
確かに、これまで何度もいろんなペットショップで「可愛いねー」とか言ってましたが、「(売れてしまって)もう会えないのは寂しい」と2人ともが思ったのは初めてです。
それから数日間、2人でいろんなことを話し合いました。
僕は、以前飼っていた犬を、もっとお世話するべきだった後悔があること。
子供が独り立ちした後や退職後の方が、余裕があっていいんじゃないか。
子供やペットという同じ方向ばかり見過ぎて(良いことですが)、夫婦がお互いのことを見れてなかった、ということにはしたくない。
そして、2人で決断しました。
2017年7月2日(日)
ペットショップ「いらっしゃいませー。…あ、スコティッシュフォールドを気に入ってくれてたお客様。」
2人「この子を…お願いしますっ。」
帰宅したアパートの部屋で開けた段ボールから、ひょっこり顔を出してくれた時の感動は忘れません。
名前は、2人で決めていました。
ムニムニしてるから「ムニ」です笑。
ぐーさんとムニと一緒に、umiieでのんびりできる日を楽しみにしてます。
(強引な後付ですが、「Muni」の中にも「umi」入ってますね笑)
今日の一曲:猫になりたい/スピッツ(covered by つじあやの)
「Si社」編 第13話 ヒラコのクンロク(後編)
(「Si社」編の最終話です。)
自身のファーストプランを大幅に修正されたプライドからか、
純粋により良い家にするための指導からか、
なおも止まないヒラコさんのクンロク(説教)笑。
ヒラコさん「東側にトイレや洗濯室配置してますけど、東側もファサード(通行人、来客から見える面)ですよ?」
2人「は、はい…。」
ヒラコさん「正式な設計図になれば表れてきますが、この間取りだとたくさんの縦樋や換気口がファサード側に出て、美しくないですよ?」
2人「お、おっしゃるとおり…。」
(イメージ)
ゴンさん「・・・」(無言)
ヒラコさん「キッチン横にリビングだと、ソファーの耳元で、調理や洗い物の音がうるさいですよ?」
2人「た、確かに…!」
ゴンさん「・・・」(助け舟出さず)
ヒラコさん「玄関も、家族以外が居室の前を通ってくる位置にあるのが…」
2人(…もうええてー泣)
そもそもゴンさんは何故この「施主が直接クンロク入れられている状況」に無言を貫いていたのか?
ゴンさん「前回の打ち合わせではすみませんでした。」
2人「やっぱり、ヒラコさん怒ってたじゃないですか笑。…てか、あそこはSi社としてゴンさんから対応お願いしたかったですよ笑。」
ゴンさん「ウマさん達の到着前に、僕もヒラコさんに同じポイントで追い込まれたんですよ。」
2人「そうだったんですね。」
ゴンさん「…で、あまりにケチョンケチョンに言われたから、僕のこの3か月間の仕事を全否定された感じがして、あの日ずっとムカついてました。」
いやそれもこちらから見たらSi社の内部の問題ですし、
そもそも「目の前の顧客」より「自分の仕事のやりがい」を優先してたんかい!笑
最小限の外部委託契約をしているだけのため、Si社としてヒラコさんを統率できないという、合理性を追求してきたゴンさん(Si社)が抱えるリスクが表面化した状況です。
ゴンさん「ヒラコさん、ウチ(Si社)を最近かなり後回しにしてて、たまに来てくれたと思ったらあれだったし。」
ゴンさん「あとあの人、僕の会社のこといまだに「N社」って呼ぶし。」
※「N社」…Si社の母体の老舗工務店名。
Si社は、ゴンさんがN社内で立ち上げたプライベートブランド。「西友」の「無印良品」みたいな。
僕を、Si社チルドレン(仲間)と思ってくれているのなら光栄ですが、仮にも一応「顧客」に会社内部の愚痴を言われても…。
満を持して2人は心の中で叫びました。
(知らんがな!!)←リアルに笑
今日の一曲:夢見るバンドワゴン/andymori
「Si社」編 第12話 ヒラコのクンロク(前編)
2016年11月17日(木)
いつもの打ち合わせ用のカフェには、すでにゴンさんとヒラコさんが待っていました。
2人「お久しぶりです。」
ヒラコさん「どーもです。」
ゴンさん「・・・。」
あれ…あまり良い空気ではありません汗
自分のファーストプランと、最新版の間取り図を見比べているヒラコさん。
黙っているゴンさん。
ヒラコさん「ウマさん…ファーストプランから、相当変えたんですね。」
2人「え…あ、はい(怯)」
ヒラコさん「南側の屋外ランドリールーム、なんで無くしたんですか?(威圧)」
ウマ「ええと…2人とも「完全室内干し派」なので、その広さをLDKに回す方がありがたいかなと思いまして(汗)…」
(イメージ)
ヒラコさん「じゃあ、せっかくトップライト付にしていた屋内ランドリールームを2Fから1Fに下ろした理由は?(尋問)」
ウマ「えーと…汗」
(いろんな要素が絡んで2か月前ぐらいの変更だから、正直はっきり覚えてないっす…)」
ゴンさん「…(無言)」
ウマ「あ、「洗濯機回す→干す」さえ分離していなければ、2F風呂と離れてても大丈夫かなと思ってと、トップライトより陰干しの方が服にいいかなと思って、でした。」
ヒラコさん「…日光がないと、風と除湿だけでは洗濯は不十分ですよ?」
ウマ「…おっしゃるとおりだと思います。」
(イメージ)
・・・
あの…
ちょっといいすか?
この3か月間、ゴンさんの責任・監修の下で、こちらも施主なり素人なりに必死で検討してきた最終形プランなんです。
それを、途中のアドバイスならまだしも、最終形のタイミングでふらっとSi社及び顧客(施主)の検討結果を否定してこられても、知らんがな!笑
ゴンさんも、ヒラコさんとの調整が必要だったんなら、事前か途中に適宜済ませておいて、施主にはあくまで「Si社」としての統一的な見解を出してほしいっす!
百歩譲っても、今日のこの場で、ヒラコさんが直接施主(僕たち)を追い込むのは、Si社としてかばって、ゴンさんから責任もって代わりに説明してほしいっす!笑
願いは虚しく、なおもヒラコさんのクンロク(説教・追い込み)は続くのでした…笑
→続く
今日の一曲:riot/木太聡